2021年度ノミネート団体

北海道・東北

551カラカネイトトンボを守る会

カラカネイトトンボを守る会

認定NPO法人
札幌市

希少なトンボが生息、
失われゆく湿原保全に住民動く

札幌市北辺部にある北区あいの里地区で、希少なカラカネイトトンボが生息する地元の篠路福移湿原を守る活動を1997年から続けている。湿原の外にはビオトープも造成し、地域住民に水辺空間の貴重さを発信している。残土や産業廃棄物の埋め立てなどにより、湿原の面積は会発足当初の5分の1の4ヘクタールを切っており、土地を地権者から買い取るナショナルトラスト運動も積極的に展開している。
552だて噴火湾縄文まつり実行委員会

だて噴火湾縄文まつり実行委員会

北海道伊達市

世界遺産の縄文史跡を
地域づくりのエネルギーに

だて噴火湾縄文まつり実行委員会は、北海道伊達市の国指定史跡北黄金貝塚公園を舞台に、毎年イベントを開催。市民や訪れる人々に貴重な遺跡の存在を知ってもらい、縄文文化や縄文人に対する興味の扉を開いている。2021年7月に世界遺産となった、北海道北東北の縄文遺跡群を構成する史跡で、その価値は世界に認められた。豊かな自然と歴史文化を誇りに、エネルギーを地域づくりに還元している。
553階上売り込み隊

階上売り込み隊

青森県階上町

古木や巨木は郷土の宝、
ツアーやイベントで振興

青森県階上町の魅力を発信するためボランティアガイドなどを行う「階上売り込み隊」。2010年の結成以来、イベント創設などで観光振興を図ってきた。同町は推定樹齢千年のイチョウをはじめ、多くの古木や巨木が残る「巨木の郷(さと)」。季節によって彩りを変える木々を案内するツアーなどを例年、春と秋に開催し、木と地域の関連や守ってきた人々の思いなどを解説している。町内の児童も案内し、郷土愛をはぐくんでいる。

554ヘラルボニー

ヘラルボニー

株式会社
盛岡市

障害者アートを高級ファッションに、
常識や先入観問う

株式会社ヘラルボニー(本社・盛岡市、松田崇弥社長)は、ネクタイなど障害者アート作品の商品化や空間演出、福祉をテーマとしたイベント企画などを手掛ける。同市のカワトクなど全国6カ所の百貨店に販売店舗を展開する。「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、社会にはびこる先入観や常識を飛び越えて、無数の個性をさまざまな形で提案。プロデュース力で商品のクオリティーを高め、販売して作家へ還元するサイクルを目指す。
555巻組

巻組

株式会社
宮城県石巻市

古い建物をシェアハウスに、
津波被災地に若者呼ぶ

本当の豊かさとは何か。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市から、現代社会に一石を投じる。巻組が目指すのは、楽しく、幸せな方法で持続可能な社会を形づくること。着眼したのは住まいだ。立地、築年、間取りが「絶望的条件」の空き家を改修し、シェアハウスとして再生する。若者を呼ぶ場をつくり、人を育てる仕掛けをつくり、地域に新しい循環を生む。被災地支援から始まった挑戦は、東北から全国へと広がっていく。
556にかほ出前商店街

にかほ出前商店街振興会

秋田県にかほ市

住宅地・中山間地の高齢者に
買い物や井戸端会議の場

地域で孤立しがちな高齢者が気軽に出掛けて買い物や井戸端会議を楽しめる場として、「出前商店街」を2010年から続けてきた。地元商工会の有志25店が山間部や住宅地の公民館などに出向き、生鮮品や日用品の販売、マッサージや美容などのサービス提供に当たる。利用者同士、あるいは店主らとの交流を楽しむ場として、地域になくてはならない存在となっている。これまでに176回開催、延べ約7900人が利用した。
557公益のふるさと創り鶴岡

公益のふるさと創り鶴岡

NPO法人
山形県鶴岡市

城下町を流れる川を再生、
祭りや舟下りで親水空間に

市民主体のまちづくり活動の実践・支援を掲げ、地域の自然環境の維持、歴史文化の継承など多彩な事業を展開している。メインで取り組んでいるのが、鶴岡市街地を流れる内川の環境保全と親水利用の促進。一時の水質汚染やごみの散乱が改善され、城下町の風情ある親水空間が整備された中心部を拠点とし、17年前から桜祭り、舟下り、藻刈りやごみの回収、生物調査などを行い、江戸の昔から親しまれてきた空間の再生を図っている。
558とみおかワインドメーヌ

とみおかワインドメーヌ

一般社団法人
福島県富岡町

ブドウ栽培に復興の願い込め、
海に臨むワイナリーを

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で全町民が避難した富岡町。人が消えた町内でワインづくりによる地域再生に挑む。2016年に有志10人で結成。避難先から数時間もかけて通い、苗木を初めて植えてから4年後の昨年、少量ながらワインを完成させた。長い時間を要するブドウの成長は、町の復興と重なる。今も町民の9割は避難先で暮らし、ワインが避難者の心を古里につなぎとめる。目標は「海の見えるワイナリー」の完成だ。
559劇団120○円

劇団120◯EN(ひゃくにじゅうえん)

福島市

福島の歴史に若者の視点、
演劇でまちの魅力再発見

福島市を拠点にオリジナル作品を上演している「劇団120○EN」は公演本番中に東日本大震災に見舞われた福島大演劇研究会のメンバーを中心に2012年4月に旗揚げした。劇団を率いる劇作家の清野和也代表は「福島だからこそ表現できる物語を追い求め、誰にでも共感してもらえる作品を上演していきたい」と意欲を燃やす。コロナ下では活動にさまざまな制限を受ける中、工夫をしながら活動を続けており、観客参加型の演劇など新しいスタイルも模索している。